わんちゃんの熱中症は、暑くなりだす5月〜9月頃ごろまでは要注意だと言われています。犬にとっても『熱中症』は身近な上に、実は重症化しやすい怖い症状です。この記事では、犬の熱中症の原因、初期症状、そして予防策について詳しく解説し、愛犬を熱中症から守るための対策を紹介します。監修:石井ドッグトレーナー日本最大級オンラインドッグスクールワンデミーで、トレーニングレッスンを受け持つドッグトレーナー。動物看護師として10年勤務。看護業務と並行して、しつけ教室を5年間担当したのち、ワンデミーでトレーニングレッスンを受け持つ講師として活躍中。目次▼熱中症とは何か?熱中症とは、高温環境下で体温調節が追いつかず、体内の熱が過剰になることで起こる健康障害です。人間だけでなく、犬も熱中症にかかるリスクがあります。特に、犬は汗腺が少ないため、暑さからくる体温の上昇を効率的にコントロールすることが難しいのです。熱中症になりやすい犬種以下に該当するわんちゃんは熱中症になりやすいため、特に注意が必要です。毛量の多い大型犬毛色が黒いわんちゃんハスキーなどの寒い地域原産の犬種ダックスのような足が短い犬種パグなどの鼻が短い犬種体温調節が苦手なシニア犬や子犬心臓や呼吸器などに持病のあるわんちゃん肥満傾向にあるわんちゃん熱中症の原因熱中症の主な原因は以下の3点です。高温多湿の環境:直射日光の下や車内など、換気が悪く高温の場所に長時間いること。水分不足:適切な水分補給がなされていない場合、体温調節が困難になります。暑い時間帯の散歩や運動:特に暑い時間帯に散歩や運動をさせることで、熱中症のリスクを高めます。お散歩・外出時の対策❶時間帯に気をつけて!愛犬を熱中症を防ぐために、5月〜9月のお散歩や外出は気温が高い時間帯(真夏は8時〜19時くらい)はできる限り避けましょう。 やむ終えない場合でも、5〜10分程度の短時間に留めていただき、気温が高い時間帯に外出する際は、必ず愛犬の様子をこまめにチェックしてあげてください。❷地面の温度にも気をつけて!犬は人より地面に近いため、地面からの熱気で熱中症になる可能性もあります。また、肉球を火傷してしまうことも。夕方になって気温は涼しく感じても、道路の表面温度は下がりきっていない場合があります。お散歩・外出の際には、地面を触って確かめるなど路面の温度にも十分気を配りましょう。日中もし外出する時は・・・地面の温度に注意温度が上がりやすいアスファルトやコンクリートは特に注意してください。)日陰を歩く長時間は避けるこまめに水分補給わんちゃん用のポカリスウェットの持ち歩きもおすすめ!ひんやりグッズを活用暑さ対策の冷感バンダナや冷感ドッグウェア、お散歩用ハンディシャワーなど。クレートやカートで移動する際は、保冷剤などを入れるクーラー代わりになるのでおすすめです。ただし、保冷剤が直接わんちゃんに当たらないようタオルなどを巻くこと、誤飲に注意。車に乗る際は必ずエアコン・ひんやりグッズも併用ひんやりマットを使うなどの対策と車内でもこまめな水分補給を忘れないように!短時間であってもわんちゃんを放置したまま車から離れないでくださいね。洋服は通気性の良いものに。洋服を着せる場合は、薄手で通気性のよいものを選びましょう。ハーネス(胴輪)も熱が籠りやすいため、洋服とハーネスでお出かけする際は、愛犬の様子をしっかり観察するようにしてください。お留守番時・室内での対策意外と室内でも熱中症になる場合がありますので、お留守番にも注意が必要です。❶室内を涼しく保つわんちゃんがいるお部屋はエアコンをつけて室温を涼しく保ちましょう。また、朝は涼しくても日中は室温が上がってしまうことも。わんちゃんは人より体温が高いため、人間が涼しいと思っていてもわんちゃんには暑い場合があります。こまめに室温・湿度に注意していただき、少しでもわんちゃんが息を荒げたりぐったりしているようであれば、熱中症の危険があります。とはいえ、エアコンの冷気は下にたまるので温度の下げすぎにも注意しましょう。大理石やアルミマットなどのひんやりグッズを活用するのもおすすめです。❷新鮮なお水がいつでも飲める状態に見落としがちなのが、新鮮なお水が常に飲める状態であるかどうか。お水は2〜3ヶ所にたっぷりと置いて、こぼしたり飲みきってしまっても大丈夫な環境を整えましょう。初期症状の見極め方こんな症状が見られたら、熱中症かもしれません。すぐに動物病院を受診しましょう。呼吸が荒く、激しくハアハアしている通常よりよだれが多いぐったりしていて、元気がないボーッとしている、フラフラしている横になって起き上がろうとしない目が充血している、舌が赤い、皮膚が赤い熱中症の症状が見られたら愛犬の体を冷やすもし外出中などに熱中症の症状が出た場合は、涼しい場所へ移動し、愛犬の体を冷やします。愛犬の体に直接、冷たい水や氷水をかけると血管が収縮してしまい効率的に体を冷やすことができません。また冷やしすぎて、犬の平熱である38℃を下回らないようにしましょう。冷やす箇所内股・脇など毛の薄い部分首などの太い血管のあるところ冷やし方保冷剤や凍らせたペットボトルに布を巻き当ててあげる、体に”常温”の水をかけ扇風機などで風をあてるなどが体温を下げるために効果的です。注意点応急処置として愛犬の体を冷やしていても、実は体内の温度は高いままということがよくあります。また、体温を下げすぎている場合もあるので注意が必要です。応急処置として冷やしながら速やかに動物病院に連れて行き、獣医師の指示に従ってください。水を飲ませる水が飲めるようであればしっかり飲ませます。息が荒い場合は無理に飲ませると誤嚥してしまう可能性もあるため、まずは体をしっかり冷やし落ち着いてから、ゆっくり飲ませましょう。熱い時期はワンちゃん用のポカリを常備しておくと安心です。なければ、応急処置として人用のポカリやアクエリアスを与えることができます。水で3~4倍に希釈してください。ただし人間用のポカリは糖分や塩分が入っているので普段使いはせず緊急時だけ使用してください。動物病院を受診熱中症はあっという間に危険な状態になってしまうため、軽度であってもすぐに動物病院を受診しましょう。まとめわんちゃんの熱中症は、最悪の場合命を落とすこともある危険な症状です。また熱中症の怖いところは、数日後に体内の機能障害が出ることもあることです。症状が軽いように見えても、自己判断はせずに必ず病院を受診しましょう。ダメージを受けたところにより様々な後遺症のリスクがあるので注意が必要です。愛犬のために飼い主が気をつけるべきポイントや対処法をしっかり覚えて、暑い季節を一緒に乗り切りましょう。